« 20冊 | トップページ | 僕らの音 »

730日

 カンボジアに移住してから、今月中旬で2年になります。365×2で、だいたい、730日。

 ニョニュムは41号から51号までを、11冊を編集長として、みんなと一緒につくりました。

 ニョニュムは、小さな、わずか8500部のメディアですが、そこで考えさせられることがたくさんありました。変化の激しいカンボジアの社会のなかで、メディアというものが、どうあるべきか。私たちが伝えたいことを伝えるのか、読み手が知りたいことを伝えるのか。それからもうひとつ、重要なファクターとして、広告主の方々います。三方の思いが一致しないときは、どう折り合ったらいいのか。

 小さいながら、毎度毎度悩んでつくっています。

 時間切れ、ゲームオーバーみたいな時も、たくさんあります。

 そんなときは、出来上がったニョニュムを手放したくない気持ちになります。申し訳なくて。

 でも、作り手が楽しまなくては楽しい雑誌はできない。その思いは、いつもみんなに実感してほしいと願いながら作っています。みんなって、スタッフだけではなく、執筆をお願いしている社外筆者のみなさんにも、です。もちろん、私自身もです。

 「楽しい」というのは、笑えるような楽しさばかりではなく、心をわしづかみにされるような感動や、突き上げるような怒りや、痛みや悲しみや、そんなものも含めて、心動かされること、とでもいいましょうか。どんな役割であっても、それぞれの仕事のなかで少しでもそんな瞬間があればいいな、と。

 取材をしていて、自分の心が動いたことをただ書き連ねたら、それは新聞記事にはならない小さな、日常の笑いと涙だった。・・・というのが、私が新聞社を辞めた理由です。滞在730日を迎える今月、自分がなぜ、カンボジアにきたのか、何を目指して日々を重ねるのか、もういちど見つめようと思います。迷ったときにこそ、心落ち着けて、出発点に立ち返ろうと思います。

 3月から、ニョニュムは変則的な形ですが、新しい日本人スタッフを迎えました。グラフィックデザインのプロです。それから、4月からは、インターンとして、日本人の編集スタッフを迎えます。ニョニュムの充実と、ニョニュム以外の仕事を請け負い、編集プロダクションとしての広がりを模索していきます。

 ニョニュムも、私たちも、変化する社会の姿をうつす鏡として、形を変えながら成長していかなければなりません。けれど、原点はいつでも、「楽しくなければ、仕事じゃない」。働くことは、生きること、だからね。

 

 

|

« 20冊 | トップページ | 僕らの音 »

コメント

 仕事の楽しさ・・・、解体し、絞り、時給に換算してしまったのが、日本の社会ですね。
 ぼくの住む村には、昔ながらの鍛冶屋があり、トンテンカン・・・という三人打ちの槌音が聞こえます。
 大変な重労働ですが、いつも何人かの村人が、羨ましそうに眺めています。楽しそうだからなんですね。

投稿: junchan | 2011年3月 5日 (土) 22時22分

こんにちは
新聞社を辞めた理由、なんとなく感じてはいたけれど、今日改めて腑に落ちたわ。あなたらしいね。

働くことは生きること。本当にそうだね。
私もいまちょうどその観点から見直しを突きつけられている状況で、おそらく年末からの体調不良もそれを促す一つの流れと考えてます。

そういう意味で、ベースにすべき考え方をもらったと思えるのでした。ありがとう♪♪♪

投稿: ミモザ | 2011年3月 6日 (日) 14時29分

junchanさま。鍛冶屋さんを楽しそうに眺める村人、いい光景ですね。いちど、村におじゃましてみたいです。
ミモザさん、「働くことは生きること」は、「ハケンの品格」というドラマの篠原涼子のセリフです。「だから、一緒に働くことは、一緒に生きることなんだ」と、私の大好きな大泉洋が言うんですね。いいドラマだよ。元気になります。

投稿: Aya | 2011年3月 6日 (日) 17時11分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1217160/39116267

この記事へのトラックバック一覧です: 730日:

« 20冊 | トップページ | 僕らの音 »